2020年12月23日
2020年2月22日
今回は抗生物質についてである。
日々の診療において抗生物質を必要とする症例は意外と少ない。
なぜならば外来で遭遇する大半の感染症はウイルスによるもので、抗生物質は無効であるからだ。抗生物質の効能はあくまで細菌による感染症に対してである。
例えば風邪症候群(鼻水・喉が痛む・咳等)の原因の80~90%はウイルスである。(200種類以上ある)
しかし細菌の感染症である場合には適応する抗生物質を適切な量と必要な期間投与することになる。中には抗生物質で下痢をする人がいるが、それは抗生物質が腸内の善玉菌・悪玉菌の区別なく腸内細菌を殺してしまうからである。
また症状が良くなったからといって途中で抗生物質を止めてしまうと耐性菌の温床となる可能性があり、きちんと最後まで服用しなければならない。途中で服用を中止した場合、細菌が完全に死滅せず、耐性が生じやすい環境(薬に慣れてしまった細菌が生き残る)を提供する事になってしまうからだ。
耐性菌による感染症で死亡するケースも多く、大きな問題となっている。
従って医師の側も出来るだけ不必要な抗生物質の使用を避けることは言うまでもないことである。