2014年12月02日
今年は今のところ暖冬ですが、これからが冬本番です。今回はヒートショックについての話をします。
急激な寒暖の差は脳や心臓などの血管系の病気の発症のリスクを高めます。日常において特に注意が必要な状況としては、入浴が挙げられます。
入浴の際に体は以下の様に影響を受けます。
(1)寒い脱衣所では体温を維持しょうと毛細血管が収縮して血圧が上昇します。
(2)浴槽の熱い湯に入ると交感神経が緊張し血圧が急激に上昇します。
(3)さらに肩や首までと深く湯に浸かると、水圧が加わり心臓に負担がかかりさらに血圧が上昇します。
(4)やがて体が温まった頃、今度は血管が拡張して血圧は急激に下降します。
(5)浴槽から出ると水圧が無くなるため、血圧はさらに下降します。
(6)寒い脱衣所では毛細血管が収縮して再び急激に血圧は上昇します。
車に例えると急発進・急ブレーキを繰り返しているようなものなのです。体によくないことは、おわかりいただけますよね。
では改善策としては、
1. 脱衣所を予め暖房し出来るだけ生活の場との温度差を少なくする。
2. 浴室に暖房がない場合は、お湯はりの後半を高い位置からシャワーで浴槽に湯を入れるとよいでしょう。
3. また湯温は40~41℃程度にし、かけ湯により浴槽に入る前に体を慣らし、なるべく深く浴槽に浸からないこと。
4. 飲酒後の入浴は避けること。
などの注意が必要です。
少しでも安全な入浴法で、風呂を楽しんでいただければと思います。
2014年11月08日
今年は日本でもデング熱の感染が過去になく拡大しました。
また欧米ではエボラ出血熱の感染者が出て社会問題に発展しています。感染の疑いのある人への強制隔離措置等が問題となっているようです。
エボラ出血熱は致死率の極めて高い感染症だけに行政を中心とする感染拡大への防止対策が急務であります。
いつ日本にエボラ出血熱が上陸しても不思議ではない状況といえます。
さて身近な感染症対策としては、インフルエンザワクチンが今年も始まりました。
ワクチンの効果発現までの時間を考慮すると、11月末までに接種を済ましておくとよいでしょう。
尚、インフルエンザに限らず感染症に対しては手洗い・うがいの励行が予防の第一歩であることには変わりありません。
2014年10月01日
今年は残暑が足早に去り、すっかり秋らしい陽気になりました。
春から始まった特定健診も今月末で終了です。
毎年思うことですが、結果について受診者の方にきちんと説明出来ているのかが気になるところです。
データの意味や受診された方の現時点の状況や今後の課題・予防法などを個々に合わせてわかりやすい言葉で伝えることが重要と考えています。
理解しづらかったことは、何度でも遠慮なく聞いていただきたいと思います。
健診をより有意義なものとするためには、双方の努力が不可欠だと思います。
2014年09月03日
残暑はあるものの、朝・晩は涼しさを感じるようになりましたが、如何お過ごしでしょうか?
夏の疲れが出やすい時期ですので、ご注意下さい。
また暑さにかまけて運動が疎かになっていた方は、徐々に運動を再開しましょう。
さて、6月から始まりました特定健診も残り2か月となりました。
10月は混み合いますので、まだお済みでない方は、早目の受診をお願い致します。
2014年07月29日
8月5日(火)〜8月10日(日)まで
夏季休暇とさせていただきます。
尚、お盆期間中は通常どおり診療致します。
2014年07月03日
梅雨真只中の季節ですが、如何お過ごしでしょうか?
今回は食中毒についてです。
その予防としては、手洗いの励行が一番重要だと考えます。
外から帰宅した際やトイレの後や料理や食事をする前などは、特に念入りに手洗いをしていただきたいと思います。
手洗いのポイントについては、写真と図解を掲載しましたのでご参考下さい。
キッチンでの注意としては、まな板や布巾、食器洗いのスポンジ等は熱湯または漂白剤の使用や煮沸消毒などをまめに行うことが効果的と考えます。
また同じ食品を食べていても、食中毒を発症する人は30%程度です。
過労・ストレスや睡眠不足を避け、抵抗力を落とさないことも重要といえます。
2014年06月02日
6月1日より板橋区健康診査(国保特定健診・後期高齢健診・区民一般健診)が始まります。
当院では受診者の利便性を重視し、予約制ではありません。
診療時間内であれば、原則受診可能です。
尚、混雑時は診察の方を優先させていただきますことをご了承下さい。
日本人間ドッグ学会の健診基準値の発表を受け、医療現場において混乱が生じています。
この件に関してもご質問がありましたら、結果説明の際ご説明致します。
2014年05月14日
日本人間ドック学会の「超健康人」の検査値の発表を受け、医療現場に混乱が生じている。
それは多くの人に「健康の基準が緩和される」との誤解を招いたからだ。
人間ドック学会が発表した今回の数値は、健康な人の数値がどの範囲にあるかを調べたものである。(あくまでも検査時において病気でない人の数値。)
臨床現場で使用する「病気と診断する基準値や治療目標を設定する数値」とは全く違うものである。
また将来の病気になるリスクを考慮している数値ではない。検査時点において病気を発症していない人のデータを集積したものに過ぎない。
同学会では、「超健康人」の検査値を基に今後5~10年追跡調査をして、がんや脳卒中・心筋梗塞などを患わない健康な状態を続けられるどうかを見続け、基準値を検討していくと言っている。
つまりその過程の途中データであると認識すべきである。
では「超健康人」はどのように設定されたのだろうか?
人間ドックを受診した約150万人の中から、
(1)がんや慢性肝疾患などを発症したことのない
(2)高血圧・糖尿病などで薬を服用していない
(3)たばこを吸わない
(4)飲酒は一日一合未満
などの条件で34万人を抽出した。
さらに1つの項目でも検査数値が平均から大きく外れている人を除外し、1万~1万5千人に絞り込んだ。
この人たちを、「超健康人」とした様だ。その基準値は、右記の表のとおりである。
最後に基準値とはあくまで目安であり、判断は個人個人の生活習慣や家族歴等を総合的にみて将来の重篤な疾病(脳・心血管系など)を予防する観点から行うものであろう。
従って十分納得した上で方針を決定出来るよう、医師に相談していただきたいと思う。
2014年04月05日
桜も咲きやっと春本番を迎えた。
春は風が多く発生する季節だ。
気象上のことだけでなく、我々の身の周りにも様々な風が吹く季節でもある。
4月から新社会人としての門出・新入学・異動先での新生活などなど。年度の変わり目には様々な風が吹く。
順風ばかりではないだろう。
時には逆風・突風・つむじ風・新風といった風もあろう。
程よい緊張は必要であるが、過度の緊張やプレッシャーは心身のバランスを崩す原因ともなる。
自分に合った息抜きを見つけ、精神の張りを緩めてやることが何より大切だと思う。
よい風を掴みたいものである。
2014年03月07日
そろそろ啓蟄を迎える。
啓蟄とは「冬ごもりしていた虫が外に這い出てくるころのこと」とある。
人間には大まかに三つの周期が大切であると思っている。
それは朝・昼・晩という一日という周期。それから月曜日から日曜日までの週の単位。また春・夏・秋・冬の一年という周期。時間的な単位は他にも様々あるが、身体との関連でいえば、上記の三つの周期が重要に思える。
例えば、血圧や体温などに日内変動があることや、休み明けの月曜日に循環器系の発作が多いとか、また五月病等を思い浮かべる方も多いのでは。
それらは自律神経やホルモンとの関連が深いと考えられるが、何れにせよ人は急激な変化に弱い。
それぞれの変わり目で、ギャチェンジを優しく行うことではないだろうか。
2014年02月01日
ノロウイルスやインフルエンザなどの感染症が流行している時期ですが、今回は花粉症の話しです。
10年以上前から私自身も花粉症になり春を待ちわびる反面、憂鬱な時期でもあります。
近年花粉症の患者がなぜこれだけ増加したのかは、諸説言われています。いずれの説も推測の範囲内ですが、幾つか紹介致します。
1.大気汚染(自動車排気ガスや工場排出ガス等)
2.寄生虫感染の減少や衛生環境の向上(過度な抗菌主義等も一因?)
3.都市化(アスファルトや宅地の増加に伴う土の減少や人口過密等)
4.杉による植林の増加
などが挙げられています。
いずれにせよ、日本人の環境や体質の変化が影響しているのは確かであると思われます。
治療の主体は早目(症状出現の概ね1~2週間前)の抗アレルギー剤等の内服や局所剤(点眼薬・点鼻薬)の併用になります。いずれの薬剤も対症療法ですが、鼻づまりの状態を極力軽度あるいは無い状態に保てればベストでしょう。
今後、根治を目的とした忍容性や治療効果の高い減感作療法(徐々にすぎに体を慣れさせる様なイメージ)の出現が望まれます。
また生活面での注意では、帰宅後の手洗い・うがいに加え洗顔も行うことをお勧め致します。
2014年01月01日
正月休みが終わり学校などの集団生活が再開するこの時期には、インフルエンザの本格的な流行期に入ります。
ワクチン接種をされた方でも、手洗い・うがいの徹底を怠らないことです。
鼻水・喉の痛み・咳などの風邪症状が出現する前に、突然高熱が先行するような場合は、この時期インフルエンザが疑われます。
現在は抗インフルエンザ薬がありますので、そのような場合は医療機関を受診することをお勧めします。
どの抗インフルエンザ薬もウイルスの増殖を抑制する効果であり、ウイルスそのものを死滅させるものではありません。
従って、解熱後も感染力を有する期間(増殖を抑える以前に存在したウイルスが体内にとどまっている間)は外出を避けるべきです。
医師の指示に従い自宅療養し、感染拡大の防止に努めていただきたいものです。
発症後(主に発熱)48時間を経過すると体内のウイルス量は莫大となり、それから薬を使用しても効果はあまり期待出来ないという訳です。
また、必要以上に恐怖を煽るような報道も見受けられますが、正しい知識を持って冷静に対応していただきたいと思います。